NPO法人がやってはいけないこと!できないことと・違反・禁止は?
民間の会社も「社会貢献」や「CSR」が叫ばえる時代、非営利の活動を目的とする「NPO法人」が注目されています。
NPO法人となるには様々な要件がありますが、定められた法律などで「できること」「できないこと」が規定されています。これらに違反したり、条件に満たない状況はNPO法人の「やってはいけないこと」となりますので注意が必要です。
そこで、「NPO法人がやってはいけないこと」を具体的な項目を見ていきましょう。
【NPO法人がやってはいけないこと】
NPO法人は「特定非営利活動法人」ですから、主な活動は「社会貢献」が目的となります。つまり、一般の民間企業のように利益を目的とし、儲けを生むことは認められていません。
仮に経理処理上で利益が発生した場合でも、出資者や社員に分配や還元することはできません。
発生した利益は新たな社会貢献に対しての資金として管理していくことになりますし、解散する場合でも有する財産は国庫などへ寄付するという形になります。
NPO法人の設立要件に「10人以上の社員を要する」ことがありますので、社員(総会での議決権を有する)が10人に満たない団体は認められません。
NPO法で、役員の中から理事を最低3人以上、監事を1人以上を置かなければいけません。理事はNPO法人から委任を受けて事業の運営を行い、監事は事業のチェック業務を行う役割と責任を負います。
1つのNPO法人では、役員のうち報酬を受ける者が役員総数の3分の1以下でなければいけません。3分の1以上の役員が報酬を受け取ると、NPO法人の要件を満たさなくなります。
NPO法人は、特定の公職者(候補者も)や政党を応援したり、逆に反対したりすることを目的にはできないとされています。積極的な形で関わらない範囲なら問題に問われないでしょう。
PO法人が暴力団や統制下にある団体でないことは当然ですが、暴力団構成員や、構成員でなくなった日から5年を経過しない者の統制下になる団体でないこと。NPO法人の設立時には、確認書を提出する必要があります。
社員資格の得喪(入会・退会)について、不当な条件を付けることも、NPO法人のやってはいけないことの1つです。
NPO法人の社員に入会する条件は、「目的に賛同する」ことだけでOK。何かしらの条件を付けて加入を拒否することはできません。これはNPO法人の公共性でもある一方、少し「恐ろしい」側面もあります。
NPO法人の社員になると、出資額に関係なく総会の議決権を得ることができます。新たな社員の意向によっては、本来とは違う方向性に傾く可能性もあるということです。
このあたりも、NPO法人の情報開示が厳密に義務付けられている要因になっています。
NPO法人は「特定非営利活動促進法」で定められた20種類の分野以外を目的に活動することはできません。NPO法人設立時に「特定非営利活動分野」でしか申請できません。
保険、医療又は福祉の増進を図る活動
社会教育の推進を図る活動
まちづくりの推進を図る活動
観光の振興を図る活動
農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
環境の保全を図る活動
災害救援活動
地域安全活動
人権の擁護又は平和の推進を図る活動
国際協力の活動
男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
子どもの健全育成を図る活動
情報化社会の発展を図る活動
科学技術の振興を図る活動
経済活動の活性化を図る活動
職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
消費者の保護を図る活動
前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動
NPO法人は「特定非営利活動」以外はやってはいけない?
NPO法人は、上記の「特定非営利活動」主に行うことを目的に設立されますが、それ以外の事業をやってはいけないか?必ずしもそうとは限りません。
NPO法人の定款の定めで「その他の事業」を行うことも認められています。
ただし、「その他の事業」を行う場合は「特定非営利活動の事業」と会計を明確に区分しなければいけません。逆に言うと、「その他の事業」では収益を上げることを目的とした事業も可能ということです。
ただし、「その他の事業」はあくまで「特定非営利活動」をカバーする目的であるべきで、本来の目的やミッション(社会的使命)と大きく逸脱している事業は認められないでしょう。
NPO法人の事業で「儲けること」はやってはいけない?
NPO法人は儲かるのか?儲かることをしていいのか?とよく聞かれますが・・・NPO法人は本来「非営利」の団体で、活動により収益を上げることを目的としません。
ただし、「収益事業」を一切禁じられているわけではなく、一定の範囲で認められています。
それが「特定非営利活動」以外の「その他の事業」で、定款に謳うことで収益事業が可能になります。ただし、収益の発生に制限はありませんが、利益の処分に大きな制限があります。
「その他の事業」で得た収益は社員や役員、寄付した者などに分配してはいけません。発生した利益は翌年以降の活動費に充てることになります。それ以外の用途で使用はできません。
NPO法人の「その他の事業」は本来の事業活動を行うための補助的な事業で、具体的に
「その他の事業」で支出する金額は、NPO法人の総支出額の2分の1以下
であることと制限されています(会計の単位もしっかり区分する必要があります)。
そうした理由も含め、NPO法人には情報公開の義務が厳しく規定されています。
事業報告書
財産目録
貸借対照表
活動計算書
役員名簿・社員名簿
定款等
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